ゆいっこ NPO法人 結いの里 8号 平成26年12月発行


感謝祭を終えて 感謝祭
  平成26年10月25日、2年ぶりに感謝祭を開催しました(昨年は十周年記念講演会開催のため休止)。やはり晴天。職員は、今年も結いの里特製のカレーで皆さんをご招待しようと、はりきっていました。11時過ぎると、ぼつぼつお客様が見え始め、なんと総勢81人(うち、利用者さん15人、職員10人含む)。今年は、日頃の利用者さんの口コミもあってか、地元の方々がかなり来て下さいました。テーブルセッティングは3か所、何とか全員座われました。
 いよいよ昼食開始。特製カレーもさることながら、テーブルの上には今年も関係者の皆様の腕自慢料理がずらりと並びました(昨年十周年で都会から来た講師達も、田舎のお手製料理を食べて、なんて美味しいんだろう!!と舌鼓しながら、スケッチをして帰ったほどです)。


お手製料理を食べてお腹がきつくなった頃に、
いよいよ芸能発表会の幕が開きます。

佐々木教室の先生と皆様  トップバッターは、地元で大正琴教室を開いている「佐々木教室の先生と皆様(写真@)」で、大正琴が奏でる繊細な音色が会場を漂い、最後にはおなじみの童謡「ふるさと」を皆で合唱しました。黄色いユニホームも素敵でした。

松田津佐子さんの語り部「はちがつぎ姫」  2番手は、松田津佐子さんの語り部「はちがつぎ姫(写真A)」のお話です。松田さんは毎月結いの里に語り部として、ボランティアに来てくれている方です。今日のお話は、「母親が病気で亡くなる前に、はちがつぎ姫の幸せを祈って姫の頭に鉢を被せて息を引き取った」という内容のお話しで、いつものように、すばらしい自作の絵を持参しての語り部でした。会場を厳かな空気に漂わせてくれました。

民謡を歌う「豊澤三味線一座」  次は、民謡を歌う「豊澤三味線一座(写真B)」の皆様です。秋田音頭はじめとしてこぶしの聞いた迫力のある声量で歌う民謡は、やはり東北の高齢者の人気の的です。利用者の皆さんも目を輝かせて口ずさんでいました。

 次は、「地元有志の皆さん3人(写真C)」です。高橋ヨコさんは色メガネと人工おっぱいのユニークな出で立ちで「火の用心」を秋田弁でーー、皆大爆笑でした。また工藤キエさんは「秋田甚句」を、成田ユキ子さんは「秋田おばこ」を踊って下さいました。

「地元有志の皆さん3人」 「地元有志の皆さん3人」 「地元有志の皆さん3人」

 次は「結いの里合唱団(写真D)」の出番です。
結いの里の利用者さんは歌手ぞろいです。91才の男性Aさんは、声量があり、満州の戦争体験記・悲惨さを語りながら軍歌を歌います。他の男性高齢者さん達も戦争体験者が多いので参加して歌います。民謡を歌う「豊澤三味線一座」しかし、女性群も負けてはいません。82才のSさんは、クラス会でよく歌ったと言う浪曲調の「悲恋物語」を3分くらい歌い続けます。良く歌詞を覚えているなーと感心します。ある日、Sさんのご主人と息子さんが結いの里を訪れる機会があり、この歌に出会い「知らなかった!初めて聞いた」と感動していました。もう一人の女性歌手は79才のTさんです。若い頃から歌が好きで、農作業が終わるとカラオケに行き歌ったと言います。結いの里では、静かに一人で口ずさむことが多く、美声でこぶしが効いて民謡のBGMが流れているようです。でも他者が歌うとTさんもそれに合わせて歌ってくれます。やはり、好きだった遠い昔の記憶は残っているのですね。歌は残存記憶を甦らせてくれるし、皆と楽しむことで脳の神経伝達物質(ドーパミン)が増えて、脳の働きを活発化します。一石三鳥ですね。毎日、午後のお茶会の時に歌っています。この素晴らしい「老人力」が結いの里の合唱団です。

日本舞踊を本格的に習っているという小学1年生のねねちゃんです。  さていよいよ最後のとりは、日本舞踊を本格的に習っているという小学1年生のねねちゃん(写真E)です。おばあちゃまのプロの着付けで、題名「さくらさくら」「太鼓」「羽根の禿」をご披露。しっかりしたプロ級の立ち振る舞いと、なんといっても美顔とかわいらしさで皆さんを魅了しました。とりにふさわしい舞踊でした。

 各発表の皆様、本当にお疲れさまでした。そして、楽しいひとときを過ごさせていただきありがとうございました。また来年も宜しくお願い致します。

喫茶「レストラン山の上」  さらに、もうひとつ今年の感謝祭に色を添えたのが、ゲストハウスに喫茶「レストラン山の上」(写真F)をオープン(出張)したことでした。地元で長年「レストラン山の上」を経営されてこられたフランス料理長の石山シェフにお願いして、本格的なコーヒーとプリンのスイーツをふるまって頂きました。どちらも美味しくて心がホッと温まりました。

 結いの里では、今年の夏から喫茶店を開店しています。毎日10時と15時に「喫茶ゆいっこ(写真G)」の看板をかかげ、利用者さんに注文を聞いて、コーヒー、ハーブティー、日本茶などをお出ししていました。この看板から、当日も喫茶店があれば楽しく過ごせるのでは、と思いつきました。


喫茶「レストラン山の上」  そしてお帰りには、当料理長自慢の健康に良い「ししとうみそ(写真H)」を、おみやげとしてお持ち帰りいただきました。

本当に今年は、充実した感謝祭でした。 ししとうみそ

みなさん、本当にありがとうございました。

            

2014年12月  結いの里理事長・施設長 山崎京子





結いの里は「認知症の初期集中支援」に、積極的に協力致します!

 結いの里は、認知症になっても住み慣れた我が家(住み慣れた地域)で、安心して生活ができるように、と、早くから(平成15年)認知症ディサービス&ショートスティ事業、小規模ながら独自の多機能事業を運営して参りました。
 高齢化とともに認知症が急増することに危機感を感じた国は「オレンジプラン」を策定し、早期診断・早期支援につなげる認知症初期集中支援チーム(H26年4月から全国100自治体の参加を目標に)を、モデル事業として展開しています。
 一方「第33回日本認知症学会学術集会」が、11月29日から3日間横浜で開催され、11月30日のジンポジュウム9では、5人のシンポジストが「認知症初期集中支援チームの現状と課題」を発表しました。現状は、認知症が進行(重度)し家族が生活困難になってからの相談が多く支援側も支えきれない状況にある由。認知症が軽度のうち、早期発見・早期診断(専門医の的確な診断)・早期支援につなげて欲しいと述べていました。
 当結いの里も長年、認知症の本人及びご家族に関り、本当に早期発見・早期診断の大切さを身に沁みて感じてきました。昨年は、十年を機に地元(二ツ井庁舎)に、認知症の専門家を招いて記念講演会を開催いたしました。また、今年は恒例の「感謝祭」に多くの地域の方達が参加して下さり、認知症を身近なことと受け止め、理解して下さったように思います(http://n-yuinosato.com/ をご覧ください)。
 問題を抱えている高齢者やご家族は、物忘れだけでなく高齢による健康状態にも不安を抱えて暮らしております。かつて訪問看護師&ケアマネジャーであった筆者は、物忘れだけでなく、体を総合的にアセスメントすることで適切なアドバイスも行っています。前述のシンポジュウム9でも世田谷区地域支援課の高橋裕子係長は、医療職である訪問看護師を専門チームに入れることで、総合的なアセスメントができ適切なサービスに繋げていると評価しておりました。
 これからは、訪問看護ステーションの活躍が期待されることでしょう。訪問看護に携わるナースは、認知症の本人ご家族にさらなる理解を深めていただきたいと思います。
今後結いの里も、我が秋田県&能代市が掲げる施策に、積極的に協力していきたいと考えております。

2014年12月  結いの里理事長・施設長  山崎京子